「ここのお店のマスター…あ、そこのカウンターの中に立ってる長髪の男の人。うちの銭湯にたまに来るお客さんなんだよね。」
「…………え?」
質問が終わる前に、愛はあたしの質問を察したらしい。
アッサリと答え、さっき出されたお冷を飲んでいる。
「父さんと母さんに、お店に遊びに来てって何度か誘ってくれてたらしいんだけど、行けそうにないから。……だから、姉さんのお祝いに二人で食事に行ってきて感想教えてって母さんが。」
「あ…そーゆーこと?」
単なるお母さんの興味本位で今日はこの店になったらしい。
愛は、メニューをパラパラめくりながら飲み物のページで手を止めた。
「今日はコース料理で出してもらえるんだって。……あ、ちなみに俺も今日初めて来たよ。ハイ、飲み物決めて。」
初めて来たと言うわりに、愛はとても落ち着いていてメニューを渡してきた。
あたしは迷いながら、よく分からないファンシーな名前のついたドリンクを頼んだ。
そうしたら自然界には存在しないような色のドリンクが出てきたのにはビックリした。



