妖精と彼女【完】









「店、着いたけど……鼻、大丈夫?」





そう言って、そっとあたしと鼻に触れて優しく撫でてきた。
……確かに、鼻が一番痛い。




愛は心配そうにあたしの鼻を撫でていたけど、安心したように頷いた。






「あー…うん、大丈夫。愛、ちなみにさぁ…あたし、鼻血出てない?」






「……うん、鼻血も出てないし赤くなってるだけだね。姉さんは鼻筋が通ってるから大事にしないと」






表情には出ていないものの、愛は嬉しそうにそう言いながらあたしの鼻から手を離した。






どうすれば鼻筋を大事にできるんだろう……?
よく分からないけど、珍しく愛が嬉しそうなので、その疑問は放っておくことにした。





鼻痛みが薄れてきて、ふと周囲を見渡す。
そういえば、お店ついたって言ってたな…。





あたしがキョロキョロしているのに気付いた愛は、質問する前にあたしの疑問に答えた。




「姉さん、ここだよ。」








愛が指差す方を見てみると、そこにはこぢんまりしたお店があった。
来たことのないお店だったから、あたしは看板をまじまじと見た。
ぱっと見は普通の店だけど、入り口に木で出来た看板プレートをかけている。


クセのある筆記体で、店名が書いてある。







「……なに……?BAR……すたーばたふらい………?」






なんか、怪しい店名だなぁと思っていたら、愛は臆することもなく入り口のドアを開けた。