『最初から期待させたくないって思ってて、酷い言葉たくさん言ったけど。それも私には、嘘1つない本心でもあった。生きてる限り、独り。死ぬ時も、独り。そう思ってたのに。アイツとの半年間が、あまりに心地よくて温かかったから…寂しくて仕方ないの』

自分の本心を洗いざらい吐き出して、それでもいいと思う人ではなければ、私とは絶対向き合えない。

そうじゃない人は、傷付けてでも排除してきた。

輝も私と同じで、最初から自分の醜い姿を私に洗いざらいぶつけてきた。

向き合えない人には、傷付けてでも…。

だけど、あの人は、私とは違う。

向き合えなくても、分かってもらえなくても、すぐに排除したりしない…。

きっと分かってもらえると思って、自分を直球でぶつけるんだ…。

だから、言われた相手は変わろうとするのかも知れない…。

そうやって、輝は微塵の可能性を引き出して、相手を輝かせるのかも知れない…。

それが、永田 輝の持つ魅力…。

私もその魅力をマネしたいっ…!

『としこっち、永田さんに着いて行きなよ…アレやコレやは抜きにして。もっと簡単に考える事が、素直になる第一歩だ!!』

モモちゃんのメールで、私はスマホを抱き締めた。

「ありがとう…モモちゃん…」

とにかく明日の朝、9時52分発の新幹線に乗る前に会わなきゃ。

あまりに今まで近い距離に毎日居たもんだから、うっかり輝の連絡先も知らないでやんの。

つくづくアホな私は、突然アイツに会いに行くしか方法がない。

銭湯で出会った、あの泣いていた女性の言っていたように。

『自分の気持ちを、素直に伝えられる相手が、すぐ側に居てくれる事こそが、私の求める幸せ』

その言葉を思い出した。

後悔したくない。

何年も会えなくなってしまった人を、想う寂しさは、いくら死ぬ時も独りだと言い張っても、絶対に私には耐えられない。

モモちゃんの言葉を思い出す。

『愚痴を聞いてくれたり。黙って頭を撫でて抱きしめてくれたり。楽しい事で嫌な事を忘れさせてくれたり。それをしてくれる相手の側に居るって、結婚なんかよりも幸せじゃない?』

輝の顔しか浮かばない。

聞いてくれて、忘れさせてくれるだけじゃない。

甘えさせてくれたり。

間違いは間違いだと、私に正しく上手に生きていく術も教えてくれる。

そんな人、今まで居なかった…。

どうしよう…。

私、やっぱり輝に…。

輝のキラキラが、うらやましいから一緒に居たい。

輝みたいに、強く生きていきたいかも…。