誰にも絶対にマネ出来ない魅力が好き。

単純に男として、カッコよくて好き。

そんなんじゃなくて。

仕事の上司だから、手際がいいからとか。

そんなんじゃなくて。

その、誰にもマネ出来ない魅力が。

私は凄く、うらやましくて。

その誰にもマネ出来ない魅力を。

その輝きを、私もマネ出来たらいいのになって。

そう思って、永田さんの側に私は居たいの。

ん~…、うまく説明できないけど。

永田さんだけが放つ輝きを、私も側で浴びたい。

そしてそれを、自分の魅力に出来たなら…。

自分の何かが、ゴソッと変わるような予感がするの。

その変わった自分が、永田さんのようになっていたなら、いいのになぁと思う。

そんなこんなで、11時に101号室のインターホンを押す。

わざとらしく、3回押してやる。

永田さんのマネ。

ピンポーン♪ピンポーン♪ピンポーン!♪…

ガタッとドアが開く。

「おい、無駄に押すんじゃねぇよ。うるせぇな」

その、ちょっとイラッとした顔に最近キュンとしちゃうんだよね。

「あんたのマネしただけだしぃ~」

「チッ、早く入れよ。寒いだろうが」

低い声で、照れながら私を入れてくれる。

そこでそんな態度されたら、私も赤面しちゃうじゃんよ。

「じゃあ、ちょっと部屋ん中でも見させて貰うわ♪」

「あのなぁ~、イチイチ俺のマネすんな」

頭をコツかれた。

「あ痛っ…」

今のでちょっとは、和んだかな。

「海老てん買ったの。ほら見て、こんな大きなの」

私はビニール袋から取り出すと、

「もしかして、そばって作ってくれるの?俺はてっきり…」

永田さんはカップそばを取り出していた。

しかも大盛り2つ。

私が大食漢だって事を、何故知ってるんだ、コイツ。

やはり、ずば抜けて見抜く力がある。

恐ろしい。

「じゃあ、せっかくだから永田さん。ゴチになりまーす!」

私はカップそばを差し出した。

「じゃあ、海老てんゴチになりますわ」

ヤバイ、ヤバイ!

今の笑顔はヤバイでしょ。

素直過ぎる爽やかな笑顔。

あんたには似合わない。

フワッとしたわ~。

意識したせいで、手が震えてきた。

「あんた作って」

「じゃあ、まぁ、その辺りでお利口さんに座ってな」

お利口さん?

「子ども扱いすんな」

私は妙に、彼の子どもをライバル視していた。

コタツもなく、エアコンガンガンで、部屋の中は暖かい。

奥の部屋が寝室か。

…ふぅ~ん…。

家庭的、家族的な臭いはまるで無い。

隠してる?それとも捨てた?

むしろ、捨てろ。

そして私の臭いを付けてやる。

マーキング、ちゃんとしておかなきゃ。

ニャンニャン♪