ムカツクから一切、口きいてやんないし。

睨まれたり、あんな男に命令されたくないからね。

自分の方から、所長さん事務員さんに聞いて仕事してやんの。

べぇーだっ!

最近になって、若い男の子たちは私に興味でも有るのか、やたら質問ばかりされる。

まぁ、オバチャンたちよりは私の方が年が近いから聞きやすいんだろうね。

かろうじて、チヤホヤしてくれるから。

別に、永田さんに冷たくされても、平気だし。

「副所長と美空さんって、同じ年くらい?」

「さぁ」

どうやったって年上のオヤジでしょ?

所帯持ちだから、老けてんだってあのオヤジ。

大昔の頑固ジジイってやつ。

「副所長は確か30とチョイ過ぎでしょ?」

「32だったと思うよ」

「嘘っ?!」

ガーーーン…。

私のが年上っ?!

「美空さんは30歳くらい?」

「言えない…」

言えやしないよ…。

私のが5歳も年上だなんて聞いたら、この子たちどう思うかしら。

オバチャンだぁ…って思われる。

私はゴミ袋をセットしながら、さり気なく言った。

「私、副所長さんより年上」

「えぇーーっ!マジィ?!」

男の子たちは、見合わせて驚いていた。

「35歳だもん」

悲しそうに言ってやると、

「えぇぇーっ!見えなーい!」

「20代後半って言っても、バレないっしょ」

おだてやがって全く。

可愛いんだから君たちは。

「うまい事言うねぇ。何も出ないよーだ」

「美空さん若く見えるから。てっきり副所長と同じくらいか、年下かと思ってたぁ~」

だから、アイツが老けてんだってば。

ガタン…

寒空の中、出入り口の扉が開く。

「ただいま、戻りました」

その老けてるアイツが、営業所に戻って来た。

「おかえりなさーい」

永田副所長どのは、チラッと私の方を見た。

…ツーンだ。

私は知らん顔して、ゴミ袋をしまった。

「おまえら、午後からの準備は済んでんのかよ」

「まだっすけど」

「副所長、機嫌悪いっすね。なんか合ったんすか?」

永田さんの周りに、男の子たちはご機嫌取りにすぐに寄っていく。

「いいや、なんも」

「いつもより、眉間のシワがヤバイっすよ」

「ここ、ほら、めちゃ寄ってますもん」

「そうか…」

メチャメチャからかわれて、反応に困ってやんの。

眉間のシワがヤバイってさ。

ププッ(笑)

笑っちゃいけないから、必死でこらえる。