あなたの心理テスト(ホラー)

努は雷幸と共に、トイレへと急いだ。


1人では足がすくんだが、ほかでもない雷幸が隣にいるのは心強かった。


まあなんとも情けないやつだとは努自身思いながらも、頭を切り替えた。


トイレの周辺にはすでに人だかり。


あれだけ教室から出て行ったのだから、当然かもしれない。


男子トイレなのにかまわず、女子も中に入っている。


トイレのほんの境目など、気にするやつがどこにいるだろう。


前代未聞の大事件を見るチャンスだとでも言うのだろうか。


しかしこうも人が多くては、海斗との様子も見られない。


面倒くさいことになったぞと思いながら、努はため息をついた。


「おい、見た奴は後ろに回れよなー」


「ちょっと、ウチまだ見てないんですけどぉ」


―――――海斗は見せ物なんかじゃないんだぞ…!?


努の心の奥に何か嫌なものが流れ込む。


―――――憎い。面白がっている奴ら全て。


震えて暴れだしそうになるこぶしを抑え、努は歯を食いしばった。


―――――死ね。海斗よりお前らが死んだほうが良かったんだ…!


不謹慎なことだとも努はわかっていたが、この怒りをどこにぶつければよいのかわからなかった。


気がつけば、努は海斗が死んだことを受け入れているようだ。


平気、というわけではなかったが、前よりずっと落ち着いていた。


雷幸が不安そうな顔をしているのには、努は気づかなかった。