努は驚いた。もちろん、トイレに死体があることにもだが、何よりも
この死体、見覚えのある顔だった。
「誰だ…?」
以外にも冷静な努。死体をまじまじと見つめ、誰かを予想する。
―――――この顔、この顔、この顔…。
「!」
―――――そうだ。
努はやっと思い出した。身近な人物ほど気づかないものだ。
「嘘…だろ?」
わなわなと震えだし、目の焦点は合わない。
ぁあ、ぁあ、と繰り返し目を背けたり、じっと見たり。
「海斗、なのか……?」
死体からの返事はない。
「違う…。俺は認め、ない」
努はまさかと思った。
この鼻、この目、この髪、全てが海斗にそっくりだった。
いや、ただ似ているだけだと自分に言い聞かせながらもう1度見る。
「海斗、海斗なのか?」
当たり前だが、返事はない。
「返事しろ、よ。違うんだろ?お前は俺に関係ない奴だよな?」
相変わらず、返事はない。
「ぁぁ…ぁ、ぅあ…」
努が持っていたブラシは音を立てて床に落ち、努自身も膝から崩れ落ちた。
―――――とにかく、先生に知らせなくては。
努の中にも冷静さはまだ保たれていた。
よろよろと立ちあがり、もう1度死体を見る。首から下がない死体を。
その時、死体と目が合った努は急いで逸らし、一目散に走った。
トイレの個室のドアを乱暴に閉め、鏡なんか気にしない。
―――――やばい。やばい。やばいぞ、これは…!
校則なんか無視して、廊下を全力疾走。
さっきあったことが頭の中で駆け巡る。
首から下が無い死体。血で染まった3番目の個室。あの臭い。
「ぁ…ぅぁ…」
思い出すだけで泣きそうだった。
走って走って、もう何も聞こえないほどに、走る。
そして自分の教室に、
「はぁ、は…ぁ…っ」
やっとのことでたどり着いた。
この死体、見覚えのある顔だった。
「誰だ…?」
以外にも冷静な努。死体をまじまじと見つめ、誰かを予想する。
―――――この顔、この顔、この顔…。
「!」
―――――そうだ。
努はやっと思い出した。身近な人物ほど気づかないものだ。
「嘘…だろ?」
わなわなと震えだし、目の焦点は合わない。
ぁあ、ぁあ、と繰り返し目を背けたり、じっと見たり。
「海斗、なのか……?」
死体からの返事はない。
「違う…。俺は認め、ない」
努はまさかと思った。
この鼻、この目、この髪、全てが海斗にそっくりだった。
いや、ただ似ているだけだと自分に言い聞かせながらもう1度見る。
「海斗、海斗なのか?」
当たり前だが、返事はない。
「返事しろ、よ。違うんだろ?お前は俺に関係ない奴だよな?」
相変わらず、返事はない。
「ぁぁ…ぁ、ぅあ…」
努が持っていたブラシは音を立てて床に落ち、努自身も膝から崩れ落ちた。
―――――とにかく、先生に知らせなくては。
努の中にも冷静さはまだ保たれていた。
よろよろと立ちあがり、もう1度死体を見る。首から下がない死体を。
その時、死体と目が合った努は急いで逸らし、一目散に走った。
トイレの個室のドアを乱暴に閉め、鏡なんか気にしない。
―――――やばい。やばい。やばいぞ、これは…!
校則なんか無視して、廊下を全力疾走。
さっきあったことが頭の中で駆け巡る。
首から下が無い死体。血で染まった3番目の個室。あの臭い。
「ぁ…ぅぁ…」
思い出すだけで泣きそうだった。
走って走って、もう何も聞こえないほどに、走る。
そして自分の教室に、
「はぁ、は…ぁ…っ」
やっとのことでたどり着いた。



