約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く


「山波、後で顔を出せ」

朝餉の席で、土方さんに声をかけられた。


瑠花が広島へ出掛けた後も、
近藤さんたち他の隊士の人たちは一度帰ってきて、
再び、広島へと向かった。

二度目の広島行きからも、すでに帰ってきてる。



だけど丞は未だに、私の部屋を訪ねてこない。
多分、彼はまだ仕事中なのだと思う。


広島から出掛けていた人たちが帰ってきた後、
屯所内はいつもと同じように見えて、何か違って見えた。


派閥というか、グループみたいなものが、
傍から見て明確にわかれてきているような気がする。


隊士たちは日々、道場で鍛錬を頑張っている声は轟くものの、
次々と粛清されていく隊士たちの存在に、
恐怖や不満を覚えていく人たちの声も、ひそひそと聞かれるようになった。


そんな声を知りながらも、土方さんは態度を変える気がないみたいで、
新選組の中でも、何処か孤独に何かと戦っているようにも映った。



朝餉の後片付けを終えると、私は約束通り土方さんの部屋を訪ねた。



「遅くなりました。山波です」

「入れ」



部屋の主の許可をもらって襖に手をかけて中に入ると、
土方さんは今日も筆を手に仕事をしているみたいだった。



「おぉ、山波。呼んだのはこれだ」


そう言って土方さんが私の前に差し出したのは、
花桜へっと私宛に、瑠花から書かれた手紙だった。


「土方さん……」

「山崎からの報告と共に同封されていた。

 山崎の報告の末尾にも記されていたが、
 岩倉が明日、大阪へ到着するようだ。

 総司にも伝えておく。
 大阪へ迎えに行ってやれ」

そう言うと土方さんは、とっとと出ていけ邪魔だっと言わんばかりに、
指先で払いのけて、また筆を動かし始めた。