「初めまして、私、岩倉瑠花と申します。
 舞を探して京から訪ねてきたのですが……」


そう切り出すと高杉雅子さんは舞のことを教えてくれた。


舞も、雅さんのところを訪ねたことがあること。
ですが、その一度きりで今は会っていないということ。


高杉さんからは文が届いているので、
舞宛にその文を届けてあげると言うものだった。


でも私が舞を今以上に探し回るのは止められてしまった。




「瑠花さんでしたか……。
 貴方が舞を探していたことは、必ず私が舞に伝えましょう。

 文でもしたためていきなさい。
 その文は私が責任もって届けるとお約束します。

 ですが今、ここ萩は戦ばかりで危ないです。
 これ以上、京からの舞の客人を危険な目に合わせるのは舞も望まないでしょう。

 ですから、どうぞお引き取りを。
 いずれ、戦が落ち着きましたらまた会える時もありますでしょう」



そう説得されてしまって私は舞への手紙をしたためて、
再び林蔵さんに同行する形で広島へと帰ることになった。



初めての一人旅。

舞に会うという目的こそ達成できなかったものの、
沢山の優しさと親切に触れることが出来た時間。



ほんの少しだけ、私自身も強くなれた気がした。