布袋を少し開くと、袋の中にはたくさんの色のお星さまが姿を見せる。


「金平糖やな」


総司に手渡された金平糖をつまんで、一つ口に放り込む。
上品な甘さが広がって、思わず頬が緩んでしまう。


「岩倉も自分の足元見つけたら、
 好いた人のもとへ帰らなあかんな」


その言葉に素直に頷ける自分がいた。


11月7日大坂を出航した船は11月16日に広島へと到着した。
広島に到着した私たちは、永井さんの宿舎となる広島藩の客屋へと案内された。


その場所で私は、近藤さんたちと別行動をすることになった。

広島で別れた私は周辺の町を歩きながら、
少しでも長州にいるであろう、舞の安否を確認したくて尋ねまわる。


それでも、よそ者の私に気軽に長州の話を聞かせてくれる人なんて存在しない。
私自身で、ようやくこの世界の道を歩き出した私。


この世界の未来がどうなるかなんてわからない。
私が、この世界から解き放たれる時が来るのかどうかもわからない。


だけど私は、私の世界に『総司を助けてください』と心の中で祈り続けながらも、
今出来る僅かな出来事を、確実にこなして、強く歩いていきたいと心から思えた。



京を離れて……花桜の傍を総司の傍を離れて、
守られてばかりいた私自身を強く感じることが出来た。



私も……強くなりたい。
大切な人を暖かく包み込めるように。