私が晋兄の元に押しかけてから、
半年以上が過ぎようとしていた。


「舞、疲れてないか?」

「大丈夫だよ。
 それより、晋兄も少しは休まなきゃ」


そうやって声をかける私に晋兄は髪をくしゃくしゃっと小さい子にするように撫でて、
また皆の方へと向かっていく。



今、私が過ごしているのは晋兄たちが奪ってきた軍艦の中。

そして……軍艦が寄港するその場所から、
長州藩のお城の方へと意識が向けられている。



力士隊・遊撃隊を率いて、雪の降る中、功山寺を飛び出した時は僅かだった人数は、
少しずつ仲間たちを増やしていった。


長州藩からは晋兄たちに食料の調達をさせてはいけないとか、
協力してはいけないとか、行く先々でお触れが出回っていたみたいだったけど、
そこに住む人たちの怒りは幕府の言いなりになる長州藩の役人たちに向けられているみたいだった。


下関から三田尻そして、その途中の絵堂で晋兄と関わり深い、今は山形さんが率いている奇兵隊と合流して、
一気に勢いをました。

当初、80人くらいだった仲間たちは1000人を超えはじめ、街道筋の庄屋さんからは沢山の戦いのための援助を受けることが出来た。


長州で苦しみ続ける沢山の人たちの想いを一心に背負って仲間たちを導き続ける晋兄。


そんな晋兄と離れたくなくて、今回の戦いも町の中に残したがった晋兄とぶつかってまで強引に船の中へと乗り込んできた。