「花桜、入るよ」



瑠花の声が聞こえて近づいてくると、
瑠花は崩れ落ちた体を優しく抱きとめた。



「……馬鹿ね……。

 総司も花桜も……本当に……
 どうしようもない大馬鹿よ」



そうやって抱きしめてくれる瑠花の温もりが、
私の涙腺を解していくようで……。




瑠花を縋りつくように声をあげて泣く。




明日をもう一度歩き出すためにこの涙は必要なはずだから。



山南さん……弱い私に何が出来るかなんて
正直わからないよ。



貴方の旅立ちは立派だったのかも知れない。


だけど……そんなの私にはわからない。


貴方が消えてしまったこの空虚さは変わらないもの。


だけど……それでも決めた私が出来る事。




この世界を精一杯歩き続けること。




貴方が未来を託して守りたかった
この新選組を大切な人たちを一番近くで見届けるから。



だから……今だけ泣いてもいいですか?



目が覚めたら、前を向ける強さを抱いて
歩いて見せるから。