『誰か助けて?

 誰かっ。私と総司を助けてっ!!』



瑠花の声は、どんどんと大きく私の中で膨らんでいく。



ごめん。

瑠花……私が自分でも知らないうちに、
私の約束に貴方を巻き込んでしまったから。


私が巻き込むことなんてなかったら、
貴方は平凡に現代で生き続けることが出来た。


放課後、友達と一緒にファミレスで喫茶店に出掛けてお茶をしたり、
映画を見たり……楽しい時間を過ごすことが出来てた。


こんなにも怖い目に巻き込むなんてなかった。
なのに……。



湧き上がってくるのは、私の懺悔ばかり。




「加賀、何処へ向かう?
 何があった?」



裸足のまま屯所から山の中へと駆け続ける私を冷静にさせるように、
斎藤さんが私の腕を掴んで、立ちとどまらせると、正面に向き合って静かに問いかけた。


「行かなきゃ」

「行く?
 この山道の先には、確か……岩神があったか……」


少し何かを考えるように視線を向ける。


「そう。
 岩神さまの元に急がなきゃいけないの」

それを告げると、斎藤さんを振り切る様にまた私は駆け出した。



目の前に見えてくる祠。

その祠の奥には小さなお社があり、
その前には大きな岩が注連縄【しめなわ】をかけられて鎮座している。


その岩神様に縋り付くように私は抱き着いた。