恐れていた出来事が広がっていく。
私が伝えた未来の歴史によって、
私の大切な人の運命が姿を変えようと動き出してる。
沖田総司は東京に帰って療養先でその命を落とす。
なのに……目の前にいる総司は近藤さんの命を守るために動こうとしてる。
そして、その為に……日にちを知りたいと私に願う。
「ごめん……私も日にちまではわからない。
だけど近藤さんが二条城に会議に行った帰り。
竹田街道の墨染辺りって言われてたはず」
「二条城の帰り……。
瑠花、それは本当なのですか?」
総司は驚いたように反芻する。
「瑠花、山波、加賀話してくださって有難うございます。
僕は出掛けなければいけません」
そう言うと総司は慌てて愛刀を手にして旅支度を始める。
「沖田さん」
総司を呼び止める花桜の声。
「花桜、瑠花、覚悟は決めたんでしょ?
だったら……一緒に行きましょう?」
舞はそう言葉を続ける。
「舞?
総司を焚きつけるようなこと言わないで」
「瑠花、花桜。
今日が、その日なのよ。
もうすぐ二条城を出て近藤さんは伏見へと馬を走らせる。
今この瞬間にも、高台寺党の残党は、あの場所で近藤さんを狙う準備をしてるかもしれないの。
だから、沖田さんは落ち着かないの。
そうでしょ」
舞は総司に、事実確認するように問いかける。
「加賀……君は、それをどうして」
「私も……知ってるもの」
総司に、そう言った舞も何かを覚悟したみたいな顔をしていて、
私にはその覚悟の理由を知る由もなかったけど、深く考えることもなかった。
「じゃ、沖田さん一人だと心配だから皆で行こうか?」
花桜も行く気満々みたいで総司のプライドを傷つけそうな言葉を口にしたことすら自覚ないままに、
同行を申し出る。
「山波、僕が一人だと心配って強く出たね。
君が来たところで、僕の足手まといになるだけだよ」
「あっ、えっと……沖田さんの心を傷つけたかったわけじゃなくて、
私も行きたいって思ったから。
山南さんがそのことを知っていたら、
多分、放っておけなかった思う。今出来ることをしようと考えたと思う。
だから……」
「有難う……。
山南さんの名前を出されたら何も言えないな。
だけど山南さんの名前を出すのであれば、
山波の居場所は僕の傍じゃない。
山波と加賀は、瑠花を連れて伏見の屯所へ戻りなさい。
後は土方さんの指示に」
「嫌よっ」
総司はやっぱり私を遺していこうとする。
そんな総司の言葉を思いっきり、否定するように叫んだ。



