そんなにかっこよすぎることばかり言われたら、
泣いて涙を流し続けて、一番近くでその現実を受け止め続けるしかできないじゃない。


バカっ。



愛しさにも似た感情が、奥から湧き上がってくる。


体を震わせて涙を流す私を、総司は背中から優しく抱きしめてくれた。




「瑠花……瑠花には、いつも悲しい思いばかりさせていますね。
 すいません」


そう呟いて少し沈黙した後、「ちなみに任務から帰ってきた山崎さんも僕と同じですよ」っと、
悪戯っ子が話すような仕草で教えてくれた。 



「えっ、山崎さん帰ってきてるの?」

「えぇ、先ほど僕も会いましたよ」

「花桜が……花桜が喜ぶよ」

「えぇ。そうですね。
 後は加賀さんが戻ってきてくれたら、
 瑠花はもっと嬉しくなりますね」



この後も、すぐに新選組から何人もの隊士たちが脱走して、
御陵衛士へと走るものの、受け入れてもらえずに京都守護屋敷で自刃。


そして新選組の屯所が、西本願寺から不動村に移される。


武田観柳斎の斬殺。
徳川慶喜の臣、原市之進の暗殺。

明治天皇の即位。



終焉(やみ)へと続く始まりは刻々と時を刻み続けていた。