「あぁ、そうだわ。」






母さんは何かを思い出したように振り向いた







「今ね、あの子が帰ってきてるのよ。







あなたに会いたがっているから、家に帰ってきて頂戴。」










『あの子』が誰かなんて、聞くまでもない。







帰らなければいい。そうすればあいつに会わなくていいから。







『るぅ兄ぃ!』









だめだ。幻聴が聞こえる。










「あら。お家で待っていなさいって言ったでしょ。」







「えへへ・・・でも一刻も早く、るぅ兄に会いたくて。」







愛くるしい顔で微笑んで、首を傾げる。








「しょうがない子ね。はるくんは。」











こいつは、弟で夜神家の次男の、夜神 晴陽(やがみ はるひ)









人間の歳でいうと、中3くらい。










見た目は、男っていうより女みたいな、かわいい顔してる。








168㎝のチビ。









「やぁーっと、会えたね。るぅ兄ぃ?」











意味ありげなその笑顔は。









嫌なことを思い出させる。