「ちゃんと来たのね。」








母さんが満足気に微笑む。









だけど、その笑顔は、














息子に会えて嬉しいという意味じゃないのを、僕は知ってる。








それに。









来ないと、痛い目にあうからね。













母さんが望む笑顔を作る、欲しい言葉を言う。












「…母さんに言われましたから。












それより、早く済ませましょう。











母さん、忙しいのでしょう?」














忙しい、の部分を強調させる。











あいつの、ご機嫌取りしてて忙しいもんね?












図星っぽい。










ピクリと母さんは眉を動かした。












「えぇ、そうね。」













これ以上話したくない、と母さんは僕に背を向ける。














母さんを殺したい衝動に駆られた。













けど、拳をギュッと握りしめ、堪える。














ここで、殺したらダメだ。



















母さんが振り向く。













「瑠宇?」












「何です?母さん。」















僕の作り笑顔が、気持ち悪いと言ったような顔をしてる。


















僕の考えてること、教えたらもっと気持ち悪がるだろうな。

















貴女を殺したい、なんて。


















訓練すれば、心を読まれないようにできる。


















だから、母さんは僕の考えてることが分からないから
















キモイんだろーけど。

















だって。教えたら逃げるでしょ。



















この女は絶対に殺したいからね。




















あの時、誓ったんだ。














あいつも、母さんも殺すって。

















だから、悟られないように。
















今日も僕は、みんなが望むイイ子を演じる。