【瑠宇side】




ネクタイを締める。









鏡には不機嫌な顔の僕がいた。











これから、実家に帰るんだから無理もないよ。














大嫌いな奴らの顔を見るだけでも、嫌だっていうのに。
















そいつらと、時間を共有するとか、拷問かよ。
















クローゼットを開ける。















中に黒い扉がある。














これは、吸血鬼界と人間界をつなぐ扉。




















吸血鬼にしか見えないし、
















吸血鬼以外が入ったら死ぬように出来ているらしい。















どうでもいいけど。














早く行こう、怒られるのも癪(しゃく)だしね。
















ギィッと扉が軋む。













足を踏み入れる。














瞬きをすると、もうそこは。
















大嫌いな世界が僕の目の前に広がっていた。