【雫音side】



あのあと瑠宇は、あたしをもう一度だけ抱きしめると離してくれた。










見上げると、もう泣いた瑠宇はいなくて。











いつもみたいに、












美しくどこか悲しい笑顔の瑠宇がいた。













「…ありがとう、雫音。」










あたしの頭を優しく撫でた。










気持ちいい。ふわふわする。












瑠宇だけじゃないけど、












吸血鬼って人間の麻薬なの？笑














「…ちがうよ、雫音ってホント変な女の子だね。







雫音は僕に、クラクラする？









声に？それとも、何？」











興味深いといったような顔で、












あたしに聞いてくる瑠宇の方が変人だよ！












「聞かないでって言ったじゃん！








瑠宇の変態！えっち！スケベ！ばかばか、ばーーーーか！！」










顔が紅潮していくのが分かる。ほっぺが熱い。












瑠宇は眉根をグッと寄せて、端正な顔を歪める。












「…それは心外だなぁ。聞いて教えてくれんないなら…。









そうだな、実践してもいいけど？身体で。」













ニヤリと妖しく笑いながら、













瑠宇が近づいてくるから、慌てて頷いた。













「…それって実践していい方の頷き？






それとも、さっきの質問の答え？」












「質問の方！！」






瑠宇は安心したように、









そっか。と言って、またあのキラースマイルで微笑む。











「その笑顔のせいだからね。」












あたしは、瑠宇を少し睨みながら言ってやった。














なのに、瑠宇は首を傾げ、











意味不明って感じであたしを見つめてた。














嘘でしょ、無意識なの？










葵とかは計算でしてそうだけど。














葵までも無意識だったら、相当タチ悪い。












そのあと、








あたしが瑠宇に延々と、尋問まがいな事をされたのは言うまでもない。