【瑠宇side】

喋ることは得意じゃない。




体力の無駄使いだとも思っていた。






僕らは人の心が読める。







聞こえるって言った方がしっくりくるかも。







その人の心がまるで喋っているように僕らには聞こえる。







この能力のせいで、人の近づけなかった。







見てくれにしか興味ない奴らばかりで。








毎日が嫌だった。







転校したときも、クラスの奴らはくだらない事ばかり考えていた。









一人を除いてね。








天崎雫音だけが、彼女だけが。










僕と葵をみても、なんとも思っていなかった。









彼女の心はくだらないどころか、












僕らを怪しんで疑って。










うすうす、僕らが“特別”ってことにも











気がつき始めているようだし。









おもしろい。と思った。











初めてなんだ。







こんなの感情も、気持ちも。







彼女を中心に、僕の世界が色づき始めた。










手に入れてやる。









彼女は僕の、










僕だけの希望。








そんな僕の気持ち。










君はまだ知らない。