いつもは長く感じる学校の授業はあっという間に終わってしまった。







あたしは一生懸命、あの2人から逃げれないかずっと考えていた。





「しず?」






ふと、顔を上げると、心配そうな表情をした凛果がいた。





そうだっ!







凛果と約束があったことにすればいいんだ!








「ねぇ、凛果。一生のお願い〜!!今日あたしと約束があったことにして!」







頼む、凛果ぁ〜!






手を合わせてお願いをするあたしに、凛果は少し困惑していた。






お願い、いいよって言って!





でも、凛果が発した言葉はあたしが求めていた言葉じゃなかった。







「ごめんね、雫音。うち今日、彼氏と久々デートだから…。」





凛果 の彼氏は社会人だからめったに会えないのは知ってる。





だから、あたしを優先させろなんて言えない。






「嘘でいいから、転校生の前だけ「何言ってんの?」」






「…雫音、嘘はダメだよね。」








急に聞こえた声にギクリとした。









後ろを見なくても分かった。







葵と瑠宇の声だ。








「青木さん、ごめんね。雫音は俺たちと約束があるから。今日、雫音借りていい?」







「…今日だけでいいから。」






凛果は少し戸惑っていたけど、すぐに笑顔で了承した。








「雫音ってばいつから、2人と仲良くなったの?今度じっくりと聞かせてよね!





やばっ。もう行かないと、遅刻するから。じゃぁね。」







凛果は、あたしの返事を聞く前に帰ってしまった。








絶対、変な勘違いしてるぅ〜………。












「…雫音ってばヒドイなぁ。」








瑠宇があたしの耳元でわざと囁く。










ピクッとおもわず反応してしまう。









「じゃぁ、行こうか。雫音?」








葵があの完璧な笑顔であたしに微笑む。








その笑顔が嫌いって今、気づいた。









その笑顔があたしを不安にさせる。







多分、葵は。










このこと絶対、知ってる。