歩道橋の階段を登ろうとした時、上から私を見下ろすアイツがいた。

「こんな時間に何してんだよ。」
「…なんでもないよ!篠田君こそどうしたの?」

我ながら名演技。嫌いな相手でも平然を装う。でもこいつに限っては…。

「何変な演技してんだよ、本当は俺にあって最悪とか思ってんだろ?」

やっぱりだ…。こいつには通じない。心の中が読まれているように、八方美人は通じない。