正樹はコップに水を注ぎ秀樹に渡した。
「いいから、これでも飲んで少し落ち着け」
正樹は頭に血が上っている秀樹を説得しようとしていた。
「ったく人騒がせな……」
直樹は秀樹を気遣いつつ、それでも笑いながら二階へと戻って行った。
その場に残された正樹と秀樹。
二人は冷静さを装いながらも本当は焦っていた。
お互いにそれを悟られまいとしていたのだった。
でも、部屋に戻って正樹は顔色を変えた。
(――もしかしたら……)
正樹はさっきの光景を思い出した。
(――ヤバい!
きっと聞かれたんだ!)
正樹は震えていた。
(――どうしよう?
――この際打ち明けて……
――でも……)
正樹は迷いながら、これからの家族の生く道を模索していた。
正樹はさっき焦った。
本当は、うすうす勘づいていたのだ。
ただ、否定したい気持ちが何処かにあったから、あのような態度になったのだ。
だから秀樹を放ったらかしのままで自分の部屋に上って来てしまったのだった。
正樹は慌てて子供達の部屋へと向かった。
「秀樹、仏間で待っててくれるか?」
そう言いながら秀樹の背中をそっと押した。
その時、秀樹が震えているのを感じた。
(――やはり聞いてしまったのか?)
動揺を隠せない。
今朝から、美紀が気になり過ぎて舞い上がっている正樹。
秀樹に悟られたと思って更に困惑していた。
(――そうだ。やっぱり話そう)
正樹は、やっと覚悟を決めた。
仏間の襖の前では秀樹がそわそわしていた。
「もしかして、叔母さんとの会話を聞いたのか?」
うなづく秀樹。
「ごめんな。本当の事言えなくて」
「パパのせいじゃないよ。それより気になること聞いていい?」
秀樹は小声で言った。
「ああいいよ。でも此処ではまずいな……」
正樹は仏間のドアを開けて、秀樹を仏壇の前に座らせた。
「そうだ。どうせなら直樹にも聞いてもらった方が……。秀樹ちょっと此処で待っててくれよ」
正樹はそう言うと、珠希の遺影を見つめた。
「いいから、これでも飲んで少し落ち着け」
正樹は頭に血が上っている秀樹を説得しようとしていた。
「ったく人騒がせな……」
直樹は秀樹を気遣いつつ、それでも笑いながら二階へと戻って行った。
その場に残された正樹と秀樹。
二人は冷静さを装いながらも本当は焦っていた。
お互いにそれを悟られまいとしていたのだった。
でも、部屋に戻って正樹は顔色を変えた。
(――もしかしたら……)
正樹はさっきの光景を思い出した。
(――ヤバい!
きっと聞かれたんだ!)
正樹は震えていた。
(――どうしよう?
――この際打ち明けて……
――でも……)
正樹は迷いながら、これからの家族の生く道を模索していた。
正樹はさっき焦った。
本当は、うすうす勘づいていたのだ。
ただ、否定したい気持ちが何処かにあったから、あのような態度になったのだ。
だから秀樹を放ったらかしのままで自分の部屋に上って来てしまったのだった。
正樹は慌てて子供達の部屋へと向かった。
「秀樹、仏間で待っててくれるか?」
そう言いながら秀樹の背中をそっと押した。
その時、秀樹が震えているのを感じた。
(――やはり聞いてしまったのか?)
動揺を隠せない。
今朝から、美紀が気になり過ぎて舞い上がっている正樹。
秀樹に悟られたと思って更に困惑していた。
(――そうだ。やっぱり話そう)
正樹は、やっと覚悟を決めた。
仏間の襖の前では秀樹がそわそわしていた。
「もしかして、叔母さんとの会話を聞いたのか?」
うなづく秀樹。
「ごめんな。本当の事言えなくて」
「パパのせいじゃないよ。それより気になること聞いていい?」
秀樹は小声で言った。
「ああいいよ。でも此処ではまずいな……」
正樹は仏間のドアを開けて、秀樹を仏壇の前に座らせた。
「そうだ。どうせなら直樹にも聞いてもらった方が……。秀樹ちょっと此処で待っててくれよ」
正樹はそう言うと、珠希の遺影を見つめた。


