私は今日……
思いがけず直樹君の花嫁になった。


『心配要らないよ。中村さんのことは俺が何とかするから』

出発前の謎の言葉の意味はこれだったのだ。


美紀ちゃんのお祖父さんは私を信頼して、庭師として雇ってくれることになった。


花でも野菜でも好きに作ってもいいと言ってくれた。

嬉しいクセに戸惑う。
美紀ちゃんのお祖父さんの娘さんのために用意した木製ブランコ。

その溢れる愛を私が壊してはならないと思ったのだ。


大君は悪ふざけが過ぎたと後で謝りに来た。
大君は本当に美紀ちゃんが大好きだったんだ。

だから傷心のまま大阪にいたのだ。


三人でのラブバトルの末に脇からパパさんに持っていかれた。
それは美紀ちゃんにママが憑依していて……
だから美紀ちゃんはママの夢を追ったのだ。


美紀ちゃんはこれから二年かけて中学の体育教師の道へと進む。

全ては珠希さんの夢。
でも本当のところは、中学なら軟式テニスが教えられるからだった。
高校では硬式テニスが主流だったからだ。

旦那様を支えながら、自分も頂点を目指す。

直樹君の言う通り、珠希さんはスーパーママだったようだ。




 『今ママは美紀の中には居ないんだ。ママは……』

直樹君の言葉の意味は何?
もしかしたら私に関係あるの?


(――珠希さんは美紀ちゃんから抜け出してる?

――そうなの?

――でも、それってどういうこと?)

そんなことを考えていたら寝られなくなった。


二段ベッドの上段を見つめる。
何時も直樹君が眠っていた場所のようだ。

直樹君は其処にたどり着いた後下りても来ない。
仕方なく私は下のベッドに入った。


それでも上が気になる。
私はそっと梯子を上った。


よっぽど疲れたのだろう。
直樹君は既に寝息をたてていた。

だから私は下段の、秀樹君が使用していたであろうベッドに又潜り込んだのだった。