朝。
美紀ちゃんのことを考えていたら、何時の間にか外に出ていた。


パティオから続くピロティにある木製のブランコが気になったのだ。
きっと美紀ちゃんのお祖父さんが娘のために買ってくれたのだろう。


去年一年生が人気投票したんだって。
あの三つ子が、トップだったと聞いてる。
男子は直樹君と秀樹君が同票の一位。
女性は美紀ちゃんがぶっちぎりだったらしい。

そんな美紀ちゃんに双子が恋をした。
三つ子だと思っていた美紀ちゃんに、血の繋がらりがないと解ったからなんだそうだ。


だから私は恋しい気持ちを封印したのだった。




 でも又今再び揺れている。
思いがけずに大好きな直樹君とルームシェアすることになった。
陽菜ちゃんには悪いと思ってる。

本当なら、陽菜ちゃんと一緒にルームシェアする家を探しに行く途中だったのだ。

私は待ち合わせていた新宿に行かなくてはならなかったのに、大阪に着いてしまったのだから。


今、このままでずっといたいと思っている。
だけど、直樹君のお母様の七回忌に戻ると私の嘘がバレかも知れない。

それが一番怖い。
私はどうすればいいのだろうか?




 「此処に居たの?」
そう言いながら直樹君が近付いて来る。


「昨日はごめん。大の奴自分もフラれたくせに、脈があったのは自分だと思い込んでいて……時々、ああやって絡むんだ」


「実際のところはどうだったんです?」
私は一番気になることを聞いた。


「美紀のこと? 何だか判らないんだ。きっかけは大だった。彼奴が美紀に恋をしたと打ち明けてたんだ。自分のことが好きかどうか聞いてくれと言われて……、でもその日に美紀が本当の妹じゃないと解って」


それは亡くなったお母様の誕生日に、叔母様がお父様を訪ねて来て発覚したようだ。

直樹君が聞いた話ではなく、秀樹君が事実を知ったのでお父様が打ち明けてくれたらしい。