「中村さん。流石に良い度胸してるね」
秀樹君がさりげなく怖いことを言う。
でも私は訳が解らずにきょとんとしていた。
「あっ、さっきのあれはオートマ限定じゃなくてマニュアル車だよ。それで二十万位だよ」
大君が慌てて付け足した。
私はその時やっと意味を理解した。
(――えっー、松宮高校きってのエースに駄目だし!?)
私はその後で震え出した。
「へー、マニュアルで取ったんだ。何か凄いね」
直樹君も私を庇うように話し出した。
「だろ。だから軽トラが運転出来たんだよ」
二人の会話が何故だか遠くに聞こえる。
私は完全に落ち込んでいた。
「中村さんどうしたの?」
急に黙った私を心配して直樹君が声を掛けてくれる。
でも私は心此処に在らずの心境だった。
「兄貴まずいよ。中村さん完全にビビってるよ」
解ってる。
私が悪いと解ってる。
でも、直樹君達に面倒なことを押し付けて……
いくらエースでも許されないと思ったのだ。
それがあのブーイングになったのだ。
(――やっぱりおかしい。エースだからって何もしないのは)
私は何時になく強気だった。
でも実のところ、心臓が口から飛び出しそうだったのだ。
「あー、解った解った。解ったから、そんな怖い顔辞めてくれ」
秀樹君に言われてハッとした。
私はずっと秀樹君を睨み付けていたのだった。
「さあ、話元に戻すよ。俺は何時か車の免許を取りたいって思ってる」
「でも合宿免許はいくら何でも無理だぞ」
「解ってるよ。でも大の話聞いてて、何もしてないことに気付いたんだ」
「しょうがないよ。社会人野球に入るために俺達は忙しかったんだから」
秀樹君が言ってる。
私はそのことを何時か自分と置き換えて聞いていた。
(――私だって免許は欲しかったんだ。でも花屋さんになるための専門学校に入るためにお金が必要だったんだ。だから免許は諦めたんだ)
高校生時にチャンスはあった。
アルバイトもしていたから貯金もあった。
でも私はそのお金を夢にかけたんだ。
秀樹君がさりげなく怖いことを言う。
でも私は訳が解らずにきょとんとしていた。
「あっ、さっきのあれはオートマ限定じゃなくてマニュアル車だよ。それで二十万位だよ」
大君が慌てて付け足した。
私はその時やっと意味を理解した。
(――えっー、松宮高校きってのエースに駄目だし!?)
私はその後で震え出した。
「へー、マニュアルで取ったんだ。何か凄いね」
直樹君も私を庇うように話し出した。
「だろ。だから軽トラが運転出来たんだよ」
二人の会話が何故だか遠くに聞こえる。
私は完全に落ち込んでいた。
「中村さんどうしたの?」
急に黙った私を心配して直樹君が声を掛けてくれる。
でも私は心此処に在らずの心境だった。
「兄貴まずいよ。中村さん完全にビビってるよ」
解ってる。
私が悪いと解ってる。
でも、直樹君達に面倒なことを押し付けて……
いくらエースでも許されないと思ったのだ。
それがあのブーイングになったのだ。
(――やっぱりおかしい。エースだからって何もしないのは)
私は何時になく強気だった。
でも実のところ、心臓が口から飛び出しそうだったのだ。
「あー、解った解った。解ったから、そんな怖い顔辞めてくれ」
秀樹君に言われてハッとした。
私はずっと秀樹君を睨み付けていたのだった。
「さあ、話元に戻すよ。俺は何時か車の免許を取りたいって思ってる」
「でも合宿免許はいくら何でも無理だぞ」
「解ってるよ。でも大の話聞いてて、何もしてないことに気付いたんだ」
「しょうがないよ。社会人野球に入るために俺達は忙しかったんだから」
秀樹君が言ってる。
私はそのことを何時か自分と置き換えて聞いていた。
(――私だって免許は欲しかったんだ。でも花屋さんになるための専門学校に入るためにお金が必要だったんだ。だから免許は諦めたんだ)
高校生時にチャンスはあった。
アルバイトもしていたから貯金もあった。
でも私はそのお金を夢にかけたんだ。