私は取ってきた蟷螂の卵を小さな箱に入れ、パティオに置いた。

今日から此処で観察だ。


(――よし、これで蟻から守れる)

何故だか納得している自分がいる。
本当におかしい。
だって私は蟷螂が大嫌いなのだから。


(――でも蟷螂は農作物を荒らす昆虫を食べてくれるんだよね……)
何故か、そんな考えが脳裏を過った。


「あっ、そう言うことか?」


(――えっ、どういうこと?)
頭の中では密かにバトル。

でも私はこの状況を全く理解していなかった。




 お昼を早めに取りながら談笑する。
話題は私のパーマカルチャーだった。

どうやら大君が見ていたことを打ち明けたらしい。


「見よう見まねなんです。朝のテレビでやっていたんです」


「何か凄かった。ちゃちゃっと遣って終わっちゃったからびっくりしたよ。何でも、後はほったらかしでいいんだってさ。それを聞いて益々びっくりしたよ」


「へぇー、ママが聞いたら『そんな方法があったの』って言うだろな」


「えっ、おばさん知らなかったのか? 俺はてっきり……」
秀樹君の言葉を受けて、大君が腕組みした。




 そして話題はじゃがいもと土の袋になった。


「あれにも驚いたよ。そのまま置いておけば良いってことも」


「あっ、それは確かママも……」
直樹君はそう言いかけて止めた。


(――え、確かママもって何?)


「そう言えば大。何時免許取ったんだ?」

私が疑問に感じていることを察してか、直樹君が急に話題を変えた。


「大のように車の免許取っておけば良かったなって思ってさ。今更遅いけど」
今度は秀樹君が愚痴を溢した。


「俺はお前等みたいに考えなしじゃなかったからだよ」

大君が自慢気に言った。