チチチチチチ
何処かで賑やかな声がする。


(――あ、何か懐かしい……

――子供の頃良く聞いていた鳥の鳴き声……

――わぁ、そうだ雲雀だ)

脳が少しずつ活性していく。

昨日の出来事が夢物語のようで、そっと目を開けた。


「えっ!?」
私は思わず驚きの声を上げた。


(――何で、何で秀樹君が此処に居るの?)

私の潜っていたベッドの横には、金髪の男性がいた。


(――あれっ!?

――違った。金髪は直樹君だった……)

私は頭を抱えながら床を見た。

確かに其処には寝袋がそのままあったのだ。




 そーっとベッドを抜け出して、寝袋に手を触れた。
その途端に潜ってみたくなった。


私は夕べ頭を突っ込んだ下の部分に足を入れ、そっとチャックを上げてみた。


(――あれ、上がらない)

寝袋から出て良く見てみたら、破壊されていた。


(――えっーーー!? 私が壊した?

――だから直樹君は、彼処で寝るしかなかったのか?)


それでも又潜る。
直樹君の匂いが嗅ぎたくて。


私は壊れた……
んじゃない、 壊した寝袋の中に身を潜めた。


(――直樹君大好き)

開きっぱなしのチャック部分を指で閉じる。

そのままずっとそうしていたくなる。

私はベッドの上にいる直樹君を見つめた。