「此処はゲストルームだったんだ。だからキングサイズのベッドなんだ。中村さんがイヤなら俺は床に寝るけど」

直樹君は申し訳なさそうに言った。


(――えっ!?

――それって私と一緒に寝てもいいってこと?)

そう考えた途端に首を振った。


「私が床に寝ます」

それと同時に言っていた。

この部屋の今の主は直樹君なんだ。
主を床に寝かすことなんて出来る訳がない。


そんなことより、一緒に同じベッドで眠りたいなんて絶対に言えなかったのだ。




 「えーと、毛布とかある場所聞いていますか」

私は本気で床に寝るための支度をしようと思っていた。


「やはり俺が寝るよ。こんなこともあろうかと、寝袋持って来たんだ」


「寝袋ですか? 又どうして?」


「野球部の合宿なんかで必要だったんだ」


「寝袋か? 何かキャンプみたいで楽しそうですね。私一度寝てみたかったんです」

私は何故かワクワクしていた。




 私は直樹君の部屋にあるキングサイズのベッドに潜り込もうとした。

真四角に近いベッドの縁は綺麗に折り畳まれていた。

だから上掛けを捲るだけで大変だった。

体を半分入れただけで疲れてしまった。


「ベッドメイキング大変だったでしょう?」

私は傍で寝袋の準備をしている直樹君に向かって声を掛けた。


「ううん。やり方解んないから結局使わなかったんだ」

直樹君は不思議なことを言った。


「それじゃ夕べは何処で眠ったのですか?」

私は返事を聞きたくて直樹を見つめた。


何だか判らないけど、私結構大胆になっている。
本当は相当シャイなんだけどね。