私がこの家で生活していくためにはこの中の三人とルームシェアしなくてはいけないようだ。
だれと相部屋になりたいか私が決めなくてはいけないらしい。

私は又も考えあぐねていた。


ルームシェアはイギリスでは一つの部屋に複数で住むこと。

フランスではコロカシオンと言い、家賃の分配の意味だそうだ。
それぞれの国でそのスタイルは違うようだ。

でもアメリカでは一つの家を共同で借りて住むことらしい。
一つの部屋に共同で住む人はルームメイトと言って区別しているそうだ。


陽菜ちゃんがルームシェアのことを話題に出した後ですぐに調べてみたんだ。
私は誰とそのルームメイトになるのか結論を出さなくてはいけないのだ。




 私に与えられた時間は僅かだ。
その間にご飯を作り、後片付けをしてお風呂に入らなければならない。

私はこの家に置いてもらうために精一杯頑張ろうと決めていた。

でも、張り切ったのも束の間。
引っ越し蕎麦の出前が届けられた。


「引っ越しと言えばこれだろう。気を利かせて頼んでやっておいたよ」
大君が得意そうに言った。


「流石気配り上手。松宮高校のムードメーカーだけのことある」
私は料理する時間を取られなかったことを感謝していた。




 だってきっと、私の料理なんて食べられたもんじゃないよ。
私はそれを自覚していた。
だからボロが出ないように、庭の管理に逃げたのだった。


でも、此処に置いてもらう以上料理はならなくちゃいけないと思っていた。


(――ねえ、直樹君。何が好きなの?

――直樹君の好きなものなら私何でも頑張っちゃうよ)




 お風呂だってそうだった。
湯船を洗ってスイッチオン。
それだけで終わる。


食事の後、一番先に入れてもらった。


一坪もないような狭い自分の家の浴槽を思い出した。
小さな湯船の横にあるコンパクトなガス釜。

それだけではない。
同じ空間にトイレもあったのだ。
だから私は陽菜ちゃんとのルームシェアの発案が嬉しかったんだ。


「陽菜ちゃんごめんね」
私は今日の出来事を思い出して、出会えなかった友人に謝っていた。