美紀も部活の朝練に参加していた。

初めにやるのはラン。
簡単に筋肉をほぐした後で校庭を走る。
放課後のロードより軽く全員参加が基本だった。

その後ウォーミングアップしてからラダートレーニング。

ラダーとは縄ばしごの意味で、足下に置いて反復跳びで瞬発力を鍛えることが出来るのだ。

でも美紀はもっと簡単にしてしまった。

それも珠希直伝事のアイデアで、ただ線を書くだけだった。

物を置いて運動した時の躓き事故を無くすためだった。

美紀の基礎体力と応用力は、それらにより生み出されたものだったのだ。


その後初めてコート練習へと向かうことになっていた。


レギュラーと補欠選手には優先的にコート使用が認められていた。

朝は時間が無く、効率の良く成果を上げるためだった。


そのため他の部員達は、素振りと技術を盗むための見学に徹底していた。


でも今日は違った。
美紀の計らいで、新人のソフトテニス部員達に素振りを教えることにしたのだ。


でも、中学時代から本格的にやっていた者が大半だった。
基礎がしっかり出来ていて教えることもなかった。
でも一応決まりとして、基礎訓練は指導しなければいけなかったのだ。




 硬式のテニスのラケットより太いグリップ。
持ち手を変えることなくフォアハンドとバックハンドに使える優れものだった。

シューズは底がフラットで凸凹のない物。

クレーコート用、ハードコート用、アンツーカーコート用の三種類がある。
コートに入る時は必ずテニスシューズに履き替えなければいけない。

コートを荒らさなくするためだった。


ソフトテニスの多くのコートはクレーだった。
そのためのブラシ掛けとライン掃きは、終了時に何時も全員参加がルールだった。




 ソフトテニスのコートは、大きく三つに分けられる。

ストロークが打ちやすく、ラリーが続けやすい土のクレーコート。

多少の雨でもプレーが可能な砂入り人工芝の通称オムニコート。

摩擦が大きく、カットサービスが有効なハードコート。

又それに合わせたシューズ選びも大切だった。
でも正樹に負担を掛けたくなかった美紀は、常にオールコート用を愛用していた。


珠希の影響もあって、正樹は多少なりとは理解していた。
本当は全てのコートに適したシューズをプレゼントしたかったのだ。