「「「皆の者 大儀であった」」」


「「「「はっはー」」」


ここは京都にある時代劇の撮影スタジオ。


畳何十いや!
何百畳の大広間に侍姿の男の人達数十人が上段に鎮座する高貴な男性に平伏してる。


もちろん高貴な方も侍の姿。


次々とお侍さん達が平伏しながら退席していく。

数人のお侍さんと上段に鎮座する『高貴なお方』だけが大広間に居る。


「もうお楽にされて宜しいです」


下段のお侍さんが静かに口を開いた。


「ふぅ――緊張した……」


よくは知らないけど
撮影スタジオだったら「「はいっカット」」で緊張から解放されるはず。


ここは違う……。


なぜなら京都の撮影スタジオじゃないから。

そうです。


リアルなんです。
「正座をし続けられたので脚がお疲れでしょう。どうぞ脚をお崩し下さい」


別のお侍さんが優しく微笑みながら労ってくれる。


あ~~癒される~~。

この微笑みもリアルなんですぅ~~~。


〇井く~~ん。


あれっ?〇井くんの顔が引き攣っている。
それに段々顔色が………。


!?
顔の右側が痛い。


そっと顔を右に向けると


「うっ!!」

切れ長二重の端正な顔立ちをされた『高貴なお方』が冷酷な眼差しで私を見てる。


「なっ何?いえっ
なんでしょうか?……」


「…………。」


口で言わなくても『目』が十二分言ってます。


「他の男を見るな!
俺だけを見てろ!!」

嫉妬深く独占欲が強い『竹君さん』には本当に困ってしまう。


「ふぅぅ」小さく溜息をついた時私の身体が宙に浮いた。