「ひどいよ照ちゃん!いきなりなんなのさ!」
「舞香こそ。その話は秘密って空気読み取れなかったの?」
笑顔で問いかけてくる照ちゃんに、あっ、と思い出す。
そうだ、少なくとも照ちゃんが恐れるくらいの秘密の話だった!
「そっか、ごめんね照ちゃん」
「2人の世界に入るのやめてくれる?」
照ちゃんに謝ると、少し不機嫌な恭平の声が聞こえる。
…なんでそんな不機嫌なんだ。
なんて思ったけど、ドラマの撮りだめを思い出してそろそろ帰ろうと準備を始める。
「舞香帰るの?」
「うん、照ちゃんばいばーい。」
そうあたしが言うと、小さく手を振りかえした照ちゃんに心の中で悶えとく。
カワイイイイイイイイイイイイイ!!!
「…部屋まで送る。」
「ん?あー、じゃあよろしく。」
それを見ていた恭平がそんなことを言いだすから、素直にお願いした。
部屋の窓からあたしの部屋に帰ろうと、恭平と一緒に階段をのぼる。
まあ、『部屋まで送る。』なんてただ恭平が制服を着替えるついでにあたしを送った感が否めない。
別にいいんだけど!
「んじゃー、恭平、また明日ね?」
「…舞香。」
「なに?」
部屋について、窓に手をかけて恭平に声をかければなぜか名前を呼ばれる。
…なんだろう?
いつになく真剣な顔が不思議で少しだけ首を傾げる。
「………お前、」
「うん、なに?」
「…好きなやついんの?」
…は?
「…いきなり、なに?」
え、なんかついさっき不機嫌だったのになんでこのタイミングで恋バナ!?
もう驚きすぎて逆に冷静になったよね。
「…別に。なんでもねえ。じゃあ舞香また明日な」
「…え、あ、え?あ、う、うん…」
プイッと顔を向けてあたしに背中を見せる恭平。
…な、なんでそんな耳が赤いんデスカ?
「…うーん、さっぱりわからない。」
恭平までもが謎だ、なんて思いながら、ベランダを飛び越えてあたしの部屋に戻った。


