「…緊張でご飯が喉につっかえるよ、紫乃どうしよう。」
「の割りには箸が止まってないけど。ていうかもはや完食してるように見えるけど。」
……、確かにのどにつっかえてはないけどさ。
紫乃の的確なツッコミには相変わらず頭が上がらない…。
何て思って時計をチラッと見ると当番の時間まであと約5分。
1階のこの教室から2階の図書室まで2分もかかんないからお弁当片付ければ間に合うかな。
「じゃあ、紫乃。あたし行ってくるね。」
「…不思議。舞香は一ノ瀬くんと同じ当番なんて喜ぶかと思ったのに。」
ボソッと言ったあたしに今更ながら眉を寄せて首を傾げる紫乃。
「…いや、嬉しいけど。なんか、なんだろうね。……イケメンすぎて辛いんだよおおおおお!!!」
大声で叫んだあたしに“なんだ、元気じゃねえか”って目で紫乃があたしを見た気がするけど、
まあ、気のせいにしとく。うん、きっとそう。
まあそのまま教室から出て図書室へ向かった。
…いや、紫乃に誤解を与えてたらごめんなんだけどね?
嬉しくないわけじゃないのよ。
いや、嬉しいんだけどね。なんか緊張するっていうか。緊張するのが嫌っていうか。
いや別に一ノ瀬くんが嫌ってわけじゃないんだよね。
例えばね例で言えば作文で褒められてじゃあ全校生徒の前で発表してくださいみたいな。
作文で褒められて嬉しいけど全校生徒の前で発表するの緊張するなあ嫌だな嫌だなみたいなね。
…あれ、あたし説明くっそ下手だな。
なぜにこの例。全然伝わってない気がする。


