少し赤い顔をした恭平が、段々近づいてあたしとの距離を詰めてくる。









…と、同時にあたしも後ろに下がるけど、いつの間にか背中に壁がつく。









「ちょ、えっ…なに、なんか恭平怒ってる…?」








「舞香じゃなくてすっごい自分にムカついてる。」








「えっ…?」









無言で近づいてくるから恐る恐る聞くと、そう返ってくる。







自分にムカついてるってなんで…?









「…舞香が誰かと喋ってるだけで妬いて、八つ当たりして。なのに2回も先に告白されるとか本当、男として情けなすぎ…」









目の前に来た恭平と壁に挟まれながら、必死に恭平の話を理解する。








…え?先に告白されるってなに?…え?









「…本当鈍感すぎ。だから、俺も舞香が好きだって言ってんの。…好きだよ、誰よりも。ずっと昔から。」








いつの間にかあたしの顔の横の壁に恭平が手をついていて、閉じ込められるような体勢の中、目を見つめられて動けなくなる。









「…う、そ…」








「なんで嘘つくんだよ、ずっと、好きだった。」











恭平の目を見れば嘘なんかついてないってわかるから余計に信じがたい。










だ!だって、嘘でしょ!?恭平があたしを好きって…!!









「言っとくけどお前が鈍いだけでみんな気づいてたから。」








「…は!?紫乃も?町田くんも!?照ちゃんも!?」







「今名前挙げたところはかなり前から知ってる。」








誰か嘘って言って…!!









だから意味不明な発言多かったんだ…!!!










思い返して、愕然とする。








みんな鋭すぎない!?あたしが鈍いだけ!?









っていうか、今ってあたしと恭平、両想い…?









「…舞香、」






「…なに?」








真っ赤であろう顔を上げて、改めて目を合わせると、何かを決意したような恭平の顔が見える。









「これからも俺のそばにいて。…俺と、付き合って。」








「…うん、そばにいてあげる。」









へへ、と笑うと少し悔しそうな顔が視界に入ったと思った途端、









ふっと唇が重なる。








甘くて、優しい口づけ。










一瞬で離れたけど、びっくりして言葉を失った。










「…仕返し。」









そう言ってニッと笑う恭平に、ただ口をパクパクさせることしかできないあたし。









「ま、待って…んっ」






「…待てない。」









とりあえずタイムを求めたけどどうやらあたしにそんな権利はなかったらしい。









言葉が恭平の唇によって遮られて、繰り返されるキスに溺れていく感覚に陥る。








…ここが学校だってこともどうでもよくなっちゃうくらい、








胸がきゅうっと甘く締め付けられた。