「ねえ、恭平今どこ?」
「…部屋だけど。」
「……そ、そっち行ってもいい?」
「…なんで?」
なんでってなんで!!?
理由必要!?結構言うのも言うので緊張したんだぞ!
「…顔が見たいから?」
「なんで疑問形?…、まあ無理しないんだったらいいけど…、俺が保てるか知らねえよ?」
「え、なにそれどういう意味」
呆れたようにため息をついて言った恭平の言葉がよくわからなくて首を傾げる。
「独り言だから気にすんな」
「あ、う、うん…?とりあえず行く」
なんとなく納得して電話を切ってから、ベッドから起きてベランダへ続く窓を開けた。
…うっ、もう暗くなってる!日落ちるの早!!
なんて思いながら慣れきったように手すりに足をかけてよっと飛び越える。
幼少期のあたしでも余裕だったんだから多少具合悪くてもお手の物だよね、もはや。
あっという間に恭平の部屋の窓に辿り着いたあたしは、カラカラ…と音を立てながら窓を開く。
「恭平、来たよ!」
「おう、さっきぶり。」
さっきって30秒くらい前ですけどね!


