「…うん、ちょっとね。」
あはは、と曖昧に笑う。
さすがに、この悩みは唯一、恭平には言えないから濁すと、察したようにぽんぽんと頭を撫でられる。
「あんまり1人で抱え込まずになんかあったら頼れよ?」
「ん、わかった。」
グッと右手の親指を立てて笑顔を見せると、「じゃあ、帰るわ。」って言われた。
「え、今日あたしの家にご飯食べにこないの?」
「舞香が熱あるのに行ったら迷惑だろ?照連れてどっか食べに行く。」
「あ、ありがとう…」
一応気遣ってくれてるんだなって感じて、上がる口角を必死で抑える。
「じゃ、じゃあ恭平、また明日ね!!」
ニヤけてるのがばれないように早口で言って玄関のドアを開けて中に入る。
のんきに「また明日な。」って声が聞こえてきたけど、あいにく返せるほど平常心じゃないんです!
『なんかあったら頼れよ?』
…あたしが好きだって言ったら恭平はどんな顔をするんだろう。


