好きなもんは好き。









そのまま他愛ない話をしながら帰ると、あっという間にあたしの家だった。








「ありがとう、恭平!」







お礼を言って、降ろしてもらうと、「おう。」と言われる。







「手がしびれてとりあえず外れそう」







「それすら言わなかったら本当に素敵な優しい幼馴染だったのにね!!!」






「嘘だよ」







ケラケラ笑う恭平に、なんだか呆れてあたしまで笑う。








「…やっと笑った。」






「え?」






「いや、なんか今日舞香悩んでるみたいだったから。」








安心したように息を吐いて柔らかく微笑んだ恭平に、顔に熱が上がってくのがわかる。








…なんで、恭平は気づいてくれるの。








具合が悪いのも、悩んでるのも。








あたしの性格上、人に弱音を吐くのが苦手で、1人で溜め込んじゃう癖があって。










でも、恭平にだけは何でも話せた。恭平だけは、あたしの話を聞いてくれた。








ねえ、紫乃。






あたしがそばにいてほしい人は、








………恭平だよ。