「ちょ、ちょ、待って、恭平!どこ行くの?!」
「すぐ着く。」
「だから、どこだよ!!」
何も言わずに廊下を歩いていく恭平に質問しても目的地は教えてくれなくて、ただ気持ち悪さしか込み上げてこない。
ちょ、本当にきついんだってば…。
恐らく気づいてない恭平の後ろで、フラフラ歩くのも限界になって、ふっと足の力が抜けた。
あ、無理、本気で、気持ち、…悪い…。
クタッと、膝を床につけば、くるっと恭平が振り返ったのが見えた。
「…舞香が嫌がりそうだったから、やめたんだけど、…少し我慢してろよ。」
近づいてきたと思った瞬間、ボソッと呟いた恭平の言葉を理解する前に、体がふわっと浮いた。
…ん?なに?ついに頭壊れたのかな?
そこそこ人通りのある廊下だから周りの女の子たちの「キャー!」という悲鳴のような歓声のような言葉を聞きながらぼーっとしている頭で必死に状況を理解する。


