「…舞香と一緒にいる方がずっと楽しいと思うけど?」






「えぇ〜?そんなことないよぉ〜?」








あるから言ってんだろ、まずその語尾伸ばす癖やめろ。








…しつこいな。女達はどこかに行く気配すらしない。







「じゃあ、俺、帰るから。」






「えぇー!!」







そっちが動かないなら俺が引き下がるしかなくて不満の声を背中に浴びながら、優紀達がいるところへバケツを持って移動する。








…なんだったんだよ、あいつら…。







…そういえば、昔、舞香に言われたことがある。







『恭平は、世間的に見て、すっごいイケメンでかっこいい顔してるの!だからねっ、顔だけ見て女の子が寄ってきちゃうんだよ!』






『…ふうん。そうなんだ。』







小学生の頃、どうやら俺の親衛隊らしきものが幼馴染の舞香を妬んだらしくて、体育館裏でいじめられてた舞香を助けたら、そう言われたんだ。








『…でもね、あたしは違うよ?"かっこいい恭平"だからそばにいたいんじゃない。"櫻田恭平"だからそばにいたいんだよ。顔だけで判断する女の子達もいるけど、あたしはいつだって恭平の全部を見てあげる。恭平は顔だけ男じゃないもんねっ!!』








俺のせいで、クラスの女子に突き飛ばされたりしたんだから、怒ればいいのに、舞香はこれっぽっちも怒らずにむしろニッと笑って、そう宣言した。









…きっと俺が好きになった原因の1つはそういうところ。










「あ!恭平〜!ありがとう!!」






「遅かったじゃない、どうかしたの?」






「なんか、見ず知らずの女子に絡まれた。」







「あぁ。」って納得する舞香の横に並んで、雲ひとつない夜空を見上げる。








「もう、すぐ花火打ち上げるって!!」







舞香が嬉しそうに言ったのもつかの間、ドォンとでっかい音がして、空に花が咲く。







「わぁ〜!!見て、見て!!綺麗でしょ!!」







目を輝かせながらとびきりの笑顔ではしゃぐから、俺もさっきまでのイライラがとんで思わず口角が上がる。







…誰よりもそばで俺を見ていてくれる幼馴染。







舞香以外の女子なんて目に入らない。








…絶対誰にも譲らねえよ。