「…恭平?」
聞き間違うはずがないその声に顔を上げれば、
息を少しだけ切らしながら、こっちに駆け寄る恭平が見えた。
「お前自分の方向音痴さ忘れてんなよばか!!!」
「ば、ばかって言うなばかって!!!」
何回もさっきから自分を責めてるっつーの!!
傷口深くしないで!!自分で思うのと誰かに言われるのじゃちょっと傷つき度チガウ!!
「で、でも…なんで、あたしがここにいるって分かったの?」
「絶対道に迷ってると思ったから戻ったらいないし。…それで探したんだけど、お前2つに道分かれるところで、これ落としただろ?」
そう言って、恭平の手から顔を覗かせたのは紛れもない赤いビーズが付けられたイヤホンジャック。
え、イヤホンジャック?
いやいやいやあたしそれ取りにトイレ行って迷ったのにそれ落とすとかなんなのバカなの?
バックに確実に入れたのに落とすってなんなのある意味奇跡なの?
ていうか恭平の中であたしって迷ってる前提だったんだね。間違ってないけどね☆
自分のバカさに段々辛くなって俯くと、恭平が「それで落ちてた道の方に行ったらここまで一本道だったから簡単に見つけられた。」って追い打ちをかけてくる。
いや、一本道ってあたし道引き返せば良かったんじゃん!!
辛い!!!!そろそろ辛いから誰かタスケテ!!!!!


