「紫乃…、それじゃあ、あたしよくわかんない…」
「別に舞香に分かるように、何て心がけて説明してないから安心して?」
ですよね。そうでしょうね。
逆にあたしに分かるようにって思って話しているんだったら今までの会話を全部録音して再生したいよね。
いや、どこがだよ!!!って今世紀最大の大声で突っ込みたいよね、もはや。
「とりあえず悩んでも答えなんて出ないと思うから、悩まないほうがいいわよ。」
「え…、答えが出ないってナンデスカ、ソレ。」
え、何それ答えが出ないとかあたしの数学の問題と一緒?
あれおかしいよね、確か数学ってこれ!って答えが出るはずなのに何であたしのテストは出ないの?
何て思いながら、頬杖をついて何となく窓の外を見ている紫乃の横顔を見つめる。
「舞香、」
「なに?」
「とりあえずの解決策は、恭平くんを"幼馴染"っていう色眼鏡のフィルターから外してあげることだと思うけど。」
え…?
すっとこっちを見た紫乃の澄んだ目が合う。
「恭平くんを"幼馴染"として見るのをやめなさい」


