「ありがとうございます」
お礼を言って立ち上がろうとする私。
「あ、待って。座ったままで」
その人が、立ち上がるのを止めた。
「え?」
「左足出してくれる?」
にっこりと私を見て言った。
「左足ですか?」
少し戸惑ったが、言われた通り左足を出した。
「はい」
地面に跪く彼。そして、私の足を右手で持って左手でローファーをはかせてくれた。
その時に、スポッと音がした。
「ぴったりだね。何だかシンデレラみたい。王子様の気分だった」
ローファーをはかせてくれる姿は、王子様みたいだった。
……シンデレラのワンシーンみたいだった。
ピカピカのガラスの靴じゃなくて、真っ黒なローファーだったけど。
シンデレラは、どんな気持ちで靴をはかせてもらったのかな。


