「どっかに王子様いないかな?」



ふーってため息をつきながら呟いた。



「舞華、王子様なんているわけないよ」



紗々ちゃんが呆れたように呟いた。


紗々ちゃんは、私の幼なじみで織田紗々って名前。親同士も仲が良い。

肩より長いサラサラの髪に、ぱっちり二重な目にぷっ くり柔らかそうな唇。



「そーだよね……」



私は、灰田舞華。王子様に夢を見る高校一年生。

ラプンツェルが大好きだから、お尻あたりまで髪を伸ばしている。



「あ、でも7組に王子様みたいな人いるって噂ではあるけど……」



私達は1年1組で、王子様は1年7組らしい。

残念なことに、校舎が違う。1組~4組までが1棟で5組~8組までが2棟だ。