モラトリアム


一生大切にしてね

ズキズキ…。

そうか…だんだん思い出して来た。


しっかりした時計は壊れても修理に出せば永く使えるし、そうそう壊れない筈だからいいかなって。それに敬太君に似合いそうだと思って。
だから一生大切にしてね。私の事も…。

ザザ……ザザザ…

もうそこからは記憶が無い。
恐らく彼女に連れられてホテルに来たのだろう。
悪い事したな。

それにしても僕がここまで酔うのも珍しいな。記憶を無くすまで飲むなんて、いつ以来だろうか…。


一生か…。