息が苦しくなってくる。
それでも私は走り続ける。

今までの言葉が蘇ってくる。
怖い。
はやく消えて。
なのに一度傷ついた言葉は脳裏に引っ付いて離れない。

「やだっ!」

私はたんぼ道の真ん中にしゃがみこんで泣いた。

なんで、なんで、今なの?
なんで今帰ってくるの?
今全てがうまくいっていたのに。

もういいや。
もうバイバイ。

私の記憶が遠くなってくるとき、

「祈!」

空だ…。
走りながら来る。

「空…。」

「祈、なに泣いとると?」

空の優しい声。

「ごめんなさい、ごめんなさいっ。」

ごめんなさい、こんな子で。
ごめんなさい、愛せる子じゃなくて。
ごめんなさい。
空もこんな私のこと嫌いでしょ?
ごめんなさい。

「祈…。」

そう言って空は私を抱きしめてくれた。

「え…。」

動揺してしまう。

「祈が謝ることなんてない。祈はいっぱい頑張った。もう泣いてええんよ。」

空は優しく私を落ち着かせるように言ってくれた。

私は泣いた。
空の胸のなかで泣いた。

たんぼ道の真ん中でしゃがみこんで泣いた。