「優衣、正直優衣が私を利用してたって聞いたときは悲しかった。」

優衣の顔が曇った。

「でも、今本当に私のことを好きでいてくれるのなら全然いい。これから思い出をつくっていけばいい話でしょ?そう思わない?」

優衣は涙を流しながら何回も頷いた。

「ごめんね、ごめんね…。」

「ううん、もういいの。大丈夫だから…。」

一瞬の沈黙のあと。

「私言ったよね?好きな人教える、って。今から言うね。」

私は唾を飲み込むと同時に頷いた。
もしかしたら空なんじゃないか、って思った。

「私の好きな人は…好きな、人…それは…。」

「涼夜。」

「え?」

え、まさかあの?
あの涼夜?

「だめかな…?」

私はとっさに首を振った。

「いける、いけるよ。優衣なら!頑張って!」

「うん、ありがとう。私頑張るね!」

それと同時に笑顔になった。

すごく優衣が可愛い。
人って恋したらこんなにも可愛い笑顔になれるのだろうか。

「で、祈の好きな人は?」

「え?」