さっきから一言も喋らない優衣。
 
「祈の家寄って行っていい?」

「え、うんいいよ。」

喋ったのはこれだけ。

「優衣、着いたよ。今おばあちゃん買い物してるからいないから。」

「うん、そっちの方がちょっといいかも。」

「え。」


一体優衣はなにをしようとしているんだろ。

「ここ、私の部屋、入って。」

「ありがとう。」

………………。
やっぱりこの沈黙。

「あ、私お茶いれてくるね!」

「いいよ、それよりここ座ってもらっていいかな。」

「え、うん。」

なんか優衣が怖い。

「…今日さ私の好きな人のこと聞いたよね?」

「う、うん。」

「いいよ、教えてあげても。」

「え、本当に!」

「うん、その代わりちょっと私の過去の話してもいいかな?」

「え、うん全然いいけど。」

「じゃあ話すね。」