「行ってきます。」

いつものようにおばあちゃんに挨拶をして空と一緒に学校に行く。

優衣が昨日言っていた事が気になってしょうがない。
でも、初めて見た優衣の可愛い笑顔。
それが凄く嬉しかった。

「祈、文化祭楽しみ?」

「え?うん、楽しみ。」

いきなり話しかけてくる空にまたドキッっとする私。
最近、空に対する気持ちがおかしい。
何なんだろ…。

学校に着いた、と思ったら私たちの教室が騒がしかった。
みんなが群がってその中心にいるのが…優衣と城下さん!!??

「祈、どーゆーこと!?」

空と涼夜の慌てた声。

「分からない。でも、私が助けなきゃ!!」

そう思ったとき…

「じょ、城下さんは私になんの恨みがあるの?私は城下さん達が好きだよ?だから私の嫌う理由を教えて!」

優衣の震えた声。

「はぁ?理由?そんなもんねーし。ただ単純に嫌いだから。好きとかキモイっつーの!」

そー言って友達とギャハハって笑ってる。
それにイライラする。

私は思うより体が先に動いた。
初めて体がこんなにも軽いことが分かった。

「城下さん!人には絶対に優しさがあるんだよ!だから城下さん達にもあるんだよ、優しさが!だから、優衣を嫌う理由が単純なわけない。だから、よーく考えてみて!ちゃんと理由はあるから!」

私からこんな言葉が出るとは思わなかった。
でも、伝えたい、何もない私だけど、伝えたい。

「はぁ?何良い子ぶってんの?意味わかんないし。」

「今は分からなくてもいい!…と思う‥・!いつかは分かる日があるから!じゃあ!」

そう言って優衣の手を引っ張って走った。
みんなえ?って言ってるけどそんなの気にしない。
優衣もびっくりしてるだろう。
でも、良い。

屋上で私は止まった。