真剣な瞳の空。

「祈…」

優しく私の名前を呼んでくれる空。
その、ちょっとした事に緊張して、返事が返せない。

「ただいまぁ。」

その時におばあちゃんが帰って来た。

「おかえり、俺もう帰るけん、祈また明日な。」

「え、うん、また明日…!」

空は帰って行った。
おばあちゃんが帰ってきてくれて、良かったような悪かったよな感じ。
でもさっきの空との雰囲気には緊張した。

「祈、ちょっと手伝ってぇ!」

「うん、いいよ。」

おばあちゃんの声で私の頭にいた空はかき消された。

「これ、混ぜといて。」

今日の夕ご飯はハンバーグ。
おばあちゃんが言ってた。
こんなにも普通におばあちゃんに話せるなんて前は思ってもなかった。
嬉しい。
まだ、なんの未来も希望も見つけてないし、生きる意味もあんまり分からないけど私は普通におばあちゃんと喋ってる。
そんな、ことが嬉しい。
これも全部、空のおかげだ。

空はいつだって私に希望をくれた。
でも、いつも空を見ると思い出すこと。
それは、昔まだ私が3歳ぐらいのとき、誰か、きっと多分男の子と田んぼ道をかけ待った記憶がある。
それは空かどうかは分からないけど。
でも、それが空であってほしいと思う。